リーフレット
八ヶ岳の庭を作りたい〜自然の景観を生かしながら
八ヶ岳の自然は豊かです。魅力一杯です。
その美しい自然と共に暮らす・・・
それがこの地に住む大きな喜びです。
しかし、私たちは、自然と調和しながら暮らすことを
心がけているでしょうか。
日本の植物は約4000種。
イギリスは全体でも、わずか約1500種です。
ところが、八ヶ岳には約1200種もあります。
残念なことに、八ヶ岳では、人間による破壊が進んでいます。
それでも、周りの森や野には、多くの種類の樹木や草花が
自生しています。
私たちの庭は、八ヶ岳の自然を活かした庭でしょうか?
八ヶ岳の景観は連続した森や田園の風景で成り立っています。
庭も八ヶ岳の景観の一部だと考えるべきではないでしょうか。
これは、八ヶ岳の景観を作る、自然と調和する庭づくりへの
メッセージです。


(イラスト製作:T.Usui)

3年前、この地の自然・景観に魅せられた泉さんは、中古住宅を購入しました。
家の北側は雑木林に隣接し、東側は、竹林とせせらぎ、南と西は桑畑に囲まれ、
山桜やハーブ畑がある山小屋風の小さな家でした。
念願の田舎暮らしを始め、夢に描いていた庭づくりを早速開始した泉さんでしたが・・・・
◆100本のチューリップ
泉さんは、以前訪れたオランダのチュ―リップ庭園を目指してレンガで花壇を囲み、
ハーブ畑の隣に100本のチューリップを植えました。
都会で描いた庭づくりの第一歩が始まりました。
◆なにかが違う!
チューリップは鮮やかに咲き、外来種の花やハーブも咲きました。
しかし、鮮やかな花はなぜか落ち着きません。
国蝶のオオムラサキやカブトムシが生息する周囲の自然とは合わないのです。
なにかが違うのです。
雑木林や八ケ岳の森を見たり、自然の庭を見た時に感じる、安らぎがそこにはありませんでした。
◆自然の庭はやすらぐ・・・なぜだろう
泉さんの見た自然の庭は:
地面は落ち葉や草でおおわれ、自然樹形の木や低木があり、
ポイント的に園芸種の花や木が植えられていました。
そして、土もふわふわです。それは、まるで森のようでした。
自然の庭は周囲の自然と一体になって移り変わるので、ゆったりした気分になるのだと思いました。
春の芽吹きに始まり、だんだんと緑を増していく森は、やがて秋には紅葉します。
冬、雪で庭が周りの森とつながる風景は格別です。
連続した森の風景は美しく、心をやさしく包んでくれるようです。
◆周囲の自然と合う庭にしよう!
泉さんは自然の庭の良さに気がつきました。
自生する草木を生かし育てれば、自然と調和する庭ができ、季節の移ろいのある庭になると。
そして、ゆったりした自然の庭をテーマに、あせらず・楽しく・ゆっくり庭づくりをすることにしました。
==== これからの泉さんの庭づくり ====
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@オオムラサキやキセキレイが訪れやすい庭に
A居間から眺められる、桜の木をシンボルツリーとして大事にする
B生垣や塀で囲まず、借景を取り入れて、広々と見える庭に
C好きな花や木は、ポイントとして植える
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◆自然の庭は飽きない。
ダンコウバイ、スミレ、コブシ、サクラソウ、桜、レンゲツツジ、ヒトリシズカ、ズミ、
エゴノキ、アジサイ、アヤメ、トラノオ、オミナエシ、アザミ、キキョウ、リンドウなど・・・
八ヶ岳の自生種が春から11月頃まで次々と咲く。
◆野鳥が呼べる。
リスや野鳥、蝶やトンボはみな自然の草木がある庭が好きだ。
◆四季の喜びが一杯。
屋根より高い木があると、木漏れ日、葉のざわめき、雪景色など、喜びはさらに大きい。
◆手間もお金も、あまりかからない。
いまある地形や樹木を生かす。その土地にあった野草はよく増えるし、
思わぬ所から芽が出てくる楽しみもある。

◆自生の木は簡単に切らないで。
その一本が景観を守り、歳月を経てきたからこそ、味わいがある。
◆自然の地形を大事にしよう。
連続した地形は広々と見え、心地よい。
低地や湿地は埋めない。そういう場所を好む野草は意外に多い。
◆土入れ、砂利は慎重に。
よその土では自生の草木は育ちにくい。
自然の回復には何年も必要だ。
◆更地なら、まず始めにシンボルツリーを。
それを基点にすると、庭のデザインが考えやすい。
◆グラウンドカバーは工夫しよう。
裸地には芝生を植えたくなるが、ミツバツチグリ、ノイチゴ、アケビや背の低い草だっていい。
いろいろな種を蒔くのもよい。
芝生は、吸水力が弱く、湿度を嫌い、照り返しも強い。

◆落ち葉は土の栄養。冬は敷き詰めて霜よけに。
◆土は露出を嫌う ⇒ 草は抜かず、刈るといい。
樹木で日陰ができると野草も育ちやすい。
◆自生種を生かす ⇒ 風土に合う。
森に近い庭なら1〜2年待つと、色々な草木が出てくる。
◆草木の性質が分れば、失敗しない。
⇒陰樹か陽樹、乾燥か湿り気が好きかどうか。
◆陽当たり、木陰、西日よけには広葉樹、北風よけには常緑樹が役立つ。
◆移植 ⇒ 寒いから、秋より春がよい。
◆寒さのため、樹木の生長は遅い
⇒ 成長の早い白樺などを、とりあえず植えるのも方法。
◆隣地との境をするなら植栽で
⇒ 直線的に植えず、自然な方が庭がのびやかに見える。
◆庭の外灯は必要な時だけに
⇒ 暗闇では、月あかり、星空が一層きれい。