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古民家景観の維持

切妻が美しい谷戸の古民家集落 [公開座談会]
 〜 北杜市大泉町 谷戸(豊武・富谷・宮川・下新居地区)の古民家 〜


   日時:2006年9月18日(月・祝)午後1時30分〜3時30分
   場所:谷桜酒造コミュニィティ・ホール(北杜市大泉町)

《第一部》スライドによる解説 「谷戸の古民家の美しさと景観」(建築家:中村光次氏)

古民家の改築を手がけている、地元の建築家:中村光次氏より、
谷戸地区の古民家の特徴が解説された。
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 《谷戸地区の古民家の特徴》
   @地元の森の恵みで、家並が形成された
   A統一された様式の美しい家並
   B自然木の曲がりを活かした梁と、白の漆喰のバランスが美しい切妻
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一軒一軒の家の素晴らしさもさることながら、連続性のある家並みが、 風景に溶け込んでいることの美しさが実感できる。
また、八ヶ岳からの厳しい北風から守るように建てられている工夫、 地元の材料を自然に活かした美しさ、細部に感じられる粋な職人の技など その貴重さにも惹きつけられる。

古民家を維持していくには、「保存」と「再生」の2種類があり、 「保存」は、昔の形をそのまま復元し維持していくこと、 「再生」は、古い資産を生かしつつ、現代の生活に合わせた改修を行っていくこと、 という意味の違いを再認識した。


《第二部》公開座談会 「古民家に暮らす 〜 素晴らしさ、そして悩み」

パネラーに、いずれも先祖から伝わる家をお持ちの4人の地元の方をお迎えし、 谷戸の古民家の歴史的な背景や、改修・改築に至った経緯、古民家での暮らしの実感など を語っていただいた。

座談会1 座談会3

明治30年の大災害で半数以上の家を失ったことにより、同時代の建物ができたこと、 地域の住民が協力して、地元のアカマツを使って、年月をかけて家をつくっていったこと、 手がけた大工の棟梁が同じであることなどが、家並みの成り立ちを裏付ける。

とにかく「冬は寒い!」とおっしゃる皆さん、(当時は馬小屋が一番暖かかったとか...) この寒さ対策が、改修にあたっての大きなポイントのようである。
ただ、住んでいるうちに寒さに慣れる、というおおらかなご意見も...

一方、夏は快適、間取りの広さの開放感はなんとも言葉に表せないほど... 部屋数の少なさも不便というが、家族がひとつの部屋で一緒に過ごすことの大切さ も見直す時代ではないか...と感じる。

実際の体験から語られるお話は、とても実感がこもっていて、 会場からは時々笑い声も聞かれ、参加者は熱心に聞き入っていた。
改修の際、屋根や外周りを変えずに、周囲と違和感ないように心掛けたこと、 改修にかかった費用についても、新築に比べ決して高くないこと、 但し、必要なだけ手を入れることなど、皆さん率直に話してくださった。

改築にあたっては、5年の歳月をかけて各地の事例を見て回ったというお話もあり、 パネラーの皆さんの、小さい時に育った家や先祖を大切に思う気持ち、 それを、自分の子どもたちにも伝えていきたいという思い、 一緒に暮らす家族の笑顔・生活の快適さ・本物のよさを感じる喜び、 が、ひしひしと伝わってきて、会場を温かな雰囲気に包んだ。
暗く・寒く・不便と言われる古民家であるが、その土地で育った材料を使って 重厚で堅牢に作られた家を、その資産を生かして、現在の家族の生活に合わせて、 改修していく可能性があること、それがより快適な暮らしに結びつくことを、 古い家を持っている人にも、新しく家を建てる人にも、もっと広く知ってほしいと思った。

(M.K)