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古民家景観の維持

古民家車庫の修景工事  2007年7月
 〜 トタン張りの車庫を焼杉板の車庫に改修


八ヶ岳には、古い民家や蔵が多く残っていますが、私たちは特に、北杜市大泉町 谷戸の古民家群に注目し、今までに、調査や写真展を行ってきました。 最近、この地域にも周囲の風景に合わない家やトタン張りの建造物などが増えて、 景観が乱れてきています。 
今回、かなり異質さが目立っていたトタン張りの車庫の修景工事をする運びとなりました。

協力: 「ゆほびわ建築工房」…素人集団の指導に大工さんを派遣してくださいました。

改修方法: 現状の仕上げの上に木で下地をつくり、その上に焼き杉板を張り、 さらに、その上に、押さえ板を張る。
(※焼き板: 焼くことで、表面が炭化されるので、耐久性が増し、防腐、防火効果がある。)

トタン張りの車庫

実は、トタン張りの車庫の場所には長屋門があった。 長屋門が壊れかけたので、この近代的な 車庫に建て替えたのだが、その時、ご近所から、 「奇抜なものをつくったねぇ」と言われたそうだ。
(この地域は養蚕形式の家が建ち並ぶが、 この家は、屋根を変更している)

修景工事で、素晴らしい景観に

改修の結果は…  ご覧の通り、素晴らしい!出来映えになりました。
改修を始めた途端、近所の人たちから、「いい建物になるねぇ」、「良くなったねぇ」、 「窓からの風景がうんと良くなったよ」と喜びの声が届けられた。 修景工事、大成功です。

修景後 の遠景 修景後 東側
改修された車庫(手前) 南側から 東側から
修景後 南から 修景後  亀甲の石組
南側の道路から  押さえ板がアクセントに 亀甲の石組みも活き活きと見える

車庫の修復工事の様子

下準備開始1 下準備完了2
いよいよ、改修工事の始まり。 まずは、事前に、大工さんが鉄板に 木を打って下地を作ってくれた。 この下地づくりが、大変だった。 そして、足場も準備、さらに、板も必要な 長さに切り揃えるなどで、準備完了。
焼き板づくり 木裏
まずは、杉板を焼いて焼板づくり。 バーナーを使うことで、かなり楽に作れる。 木の芯に近い方(木裏)が強いので、木裏 を表にして、焼く。
もう少し厚く焼くと良い。
壁張り1 壁張り2
焼き板を、張っていく。 だんだん、壁がかっこよくなっていく。 作っていて楽しい。
壁張り3 1日目の記念写真
押さえの木も、張り終えた。 2面完成。 わぁ〜〜、かっこよくなったねぇ。 「景観に溶け込む」気持ちの良さを実感。 1日目の作業終了。  ゆほびわの大工さん、県立大の学生さん、 ご協力有り難うございました。 皆さん、 お疲れ様でした!
2日目作業 施主作業
2日目は、山梨大と県立大の学生、先生が 参加。 やはり人数が多いと早い。 ディテールが気になり始めた持ち主、自分で 板を張って、完成させて、大満足。
2日目完成記念写真 みなさま お疲れ様でした! おかげで、3日間で、完了。   見違えるように良くなった外観に、みんなが嬉しく、自然と笑顔になる。 作業をしている間に、近所の人たちが、ニコニコしながら、「良くなったねぇ」と言いに来てくれた。

修景から


今まで目立っていた車庫が、焼き杉板の黒色になり、周囲になじみ、見る人の心まで 落ち着いてきます。「溶け込む」ということの心地よさが、これほどとは想像していませんでした。 そして、周囲に合った建物が、これほど近所の人から、はっきりと喜ばれることも想像していませんでした。
イヤな建物ができても、今の日本では、個人の権利という名のもとに、何も言えない、 その結果、地域で作り上げてきた景観を守ることができない状況がよく見られます。 しかし、地域の人々は、昔から続いてきた景観を大切にしたいと思っていることが 今回この修景で実感できました。
良い佇まいとは、周囲に溶け込んでいるので、気が付かず通り過ぎてしまう建物というが、 焼き杉板に変身した車庫も、通り過ぎてしまいそうでした。 車庫は、この地域の風景に 溶け込んだ結果、まるで周囲の空気が昔の落ち着きを取り戻したように感じました。 
この修景がきっかけで、心地よい家並み景観が維持されていくことを願っています。

(A.K)