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八ヶ岳「森つくりの達人」講座

[秋編] 〜新月伐採と森つくりの道具を学ぼう〜


   日時:2006年10月21日(土)AM 9:00〜PM 3:00

   プログラム:
     1. 講演:〜未来への贈り物〜 新月の木
        (講師:NPO 新月の木国際協会 理事長 増田 正雄)
     2. 講演:〜新月の木の証人〜 現認者
        (講師: NPO 新月の木国際協会 理事 畠中 実)
     3. 実技:新月伐採と森つくりの道具を学ぼう
        (講師:林業家 小宮山 敏文
        (主催: NPO 八ヶ岳南麓景観を考える会  共催:NPO 新月の木国際協会)
     4. オプショナルツアー 「月のリズムと自然農法 」
        (講師:五風十雨農場 農場長 藤巻 桂史)
        (主催:NPO新月の木国際協会  後援:五風十雨農場)

皆さんは新月の時に伐採した木は丈夫で長持ちするということをご存知でしたか?
森の達人講座も3回目を迎え、今回は日本古来実施されていた新月伐採とはどういうものか、
NPO法人「新月の木国際協会」の増田理事長、畠中理事に講演をしていただいた。
なお、10月21日は新月の前日!まさに新月伐採に適した日である。

■講演の要約■

1.新月伐採の木と満月伐採の木の比較テスト

ミズキ 黒松
満月伐採 梅雨時カビが生える 椀にひび、歩留り30% シロアリに弱い
新月伐採 カビが生えない ひびなし、歩留り100% 害を受けにくい

2.科学的実証
  1月に伐り5月搬出した木で実験すると、満月伐採木には多くの残存デンプンが見られたが、
  新月伐採木ではデンプン反応は0であった。
  しかし、なぜその違いが現れるのか科学的解明はまだされていないようだ。

3.新月伐採木の定義
  冬季新月直前に伐採し、葉をつけたまま数ヶ月養生し、その後適当な期間自然乾燥させた木材。
  次の4つの条件をいずれも満たすこと。
  @冬季伐採 太陽暦10月11日から1月31日まで
  A新月伐採 陰暦朔日(新月の前日までの7日間)
   新月の日を境になぜかエネルギー供給が大きく変わるそうだ。
  B養生(葉枯らし) 伐採から満4ヶ月以上葉枯らし(葉をつけたまま山に放置する)。
   こうすることによって木材の含水率が大幅に減少する。
  C履歴現認記録の作成と保管
   現認者による現認記録作成、現認センターへの登録

4.新月伐採の効果
  @森林保全
   ・木材の長期利用で乱伐防止
  A地球温暖化防止
   ・長期利用でCO2固定
   ・高エネルギー材使用減でCO2排出削減
   ・自然乾燥でCO2発生抑制
  B木の文化を向上させ生活を快適にする
   ・木材関連事業の蘇生

5.「現認」とは
  新月伐採時に現認者が立会い、伐採木の固体履歴を記録し、現認センターに報告
  @2年以上の実務経験を有する現認トレーナーが伐採開始から終了まで立会い
   20数項目に及ぶ木の戸籍を作成
  A現認の目的
  ・固体履歴保証 個別識別を可能にすることにより消費者の関心を高め、
   履歴による選択を可能にする
  ・結果として、木材資源の品質向上、正しい伐採方法を広め、日本の森林資源の
   活性化に資する


講演を伺って、「新月の木」の神秘さ、そして月の満ち欠けに合わせて木を伐って来た先人の知恵に驚き、
100年育った木と100年共に生活する、という木を慈しむ心に感動した。
また、農産物の生産地に関心を持つのと同様に、身の回りの木がどこで生まれどう育ったかを考えることの、
あたりまえの大切さに気づかされた。

講演の様子 熱心に質問する参加者


■新月伐採の様子■

講演終了後、森林講座でお馴染みになった小宮山さんの森に移動し伐採と現認の実務を経験した。
道具の手入れ方法 ■ 林業家小宮山さんに、伐採道具の種類と使用方法の説明を受ける。 チェーンソーの"目立て"の実演にはいつも人気が集まる。
伐採前の現認記録を作成中 ■ アカマツ伐採前に現認記録を作成する。
アカマツ伐採 ■ 参加者がアカマツを伐採。指示どおりの方向に倒せるか、皆遠巻きに見守る。 枝かがりを防ぐため、1本のアカマツを伐るのに2本のカラマツが犠牲になったが、 木の倒れる方向の見分け、年輪の数え方、電動ノコの扱い方を教わった後、 参加者の一人がみごと切り倒した。 このアカマツの樹齢は48年であり、参加者の殆どはこの木より先輩のようであった。
今日伐採した木が、数ヵ月の"葉枯らし"を経て、切り出される時を楽しみに待ちたい。


■オプショナルツアー:五風十雨(ゴフウジュウウ)農場■

焚き火で沸かしたコーヒーを飲んだ後、希望者は南アルプス山麓の牛、羊、山羊が放し飼いされている
五風十雨(ゴフウジュウウ)農場に移動。
藤巻農場長に、農業・林業・畜産の複合化で循環型地域をつくり自給自足の社会を目指す想いを語って
いただき、参加者は紫芋の焼芋をごちそうになった。

 ※五風十雨とは…
   五日ごとに程よい風が吹き、十日ごとに適度な雨が降るという意味で、
   農作によい順調な天候をあらわす。

焼き芋をほおばる参加者 ■ 焼き芋をほおばる参加者。伐採後の空腹を充たしてくれた。 平和で美しい不老不死の秘境「シャングリラ」が南アルプス山麓に誕生することを願う。

(M.T)