長野県飯山市へ景観取り組みの視察
期日: 2007年10月3日
参加者: 風景街道の会14名(市民側7名、北杜市3、県2、国交省2)
八ヶ岳南麓風景街道の会で、独自に看板規制に取り組み、景観つくりに 積極的な長野県の飯山市に視察に行ってきました。
道中、みんなで自己紹介をしているうちに飯山市に到着。
中央道で、長坂から松本〜長野〜飯山へ一直線。たったの2時間強でした。
飯山市側からは建設水道部長、都市計画課長、道路河川課長ら、
7名が出席され、景観形成への歩みを語ってくださいました。
その説明からは、20年間かけて、「いいね・いいやま・いいところ」のまちづくりを実現させてきた自負を感じました。 (北杜市側は、景観担当者と都市計画担当者ら3名でした) |
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景観への取り組みは、20年前に、千曲川の土手を通る
国道117号が開通したとき、沿道に花を植えるところから
始まったそうです。 |
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ガードレール、標識がないとこんなに気持ちよい! 写真は国道117号、 左側は市民が購入して植えた桜の並木。 右側は、春になると菜の花になる、10kmつづく。 |
その後:
1993年 県より厳しい看板規制を始める。景観作りの開始
1996年 地域の個性を活かしながら、美しくという「全市公園化構想」
1999年 「景観形成基本計画」を策定
2000年 長野県景観条例で、飯山市は景観形成重点地域に指定される。
それに伴い、「景観形成推進協議会」を設置して、官民協働で開始。
心地よさを感じる「ふるさと風景づくり」を推進。
この推進協議会での話し合った内容を「公共景観デザインマニュアル」にして、
公表し、改善したい景観、残したい景観を共通の認識にしようとの努力がすばらしい。
行政は、市民と対話を重ね、市民の要望を丁寧に採り上げて、実現していくので、
その結果、市民が親しめる風景ができあがっていくようにおもいました。
飯山の滞在はわずかで、ほんの少ししか見られませんでしたが、
参加者一同がため息をもらしたのは、千曲川の美しい風景でした。
護岸工事が全く見えないようにしているのです。
河辺まで木々で覆われて、ゆったりと流れる千曲川の景観は、 心にしみ入る風景で心地よく、もう一度戻って来ようと思わせるものでした。 | |
自然景観への取り組みは大変難しいといわれていますが、
飯山は「日本のふるさと」と言うのにふさわしい、
どこかで見たことがある心地よい原風景でした。 もちろん、ガードレールなんてない! |
以下、飯山市内の写真です。
飯山市の人口は北杜市の半分の2.5万弱。 長野県の北東の端で、新潟と接した豪雪地帯。
雪国の趣を醸す雁木もまちづくりで改修。 雪下ろしのためのはしごが雪の多さを物語る。
看板規制で、看板が少ないので、小さな公共標識も良く目立つ。
長坂町でも、同じような標識(緑地に白字)が使われている。
是非、北杜市全域で長坂方式を公共の案内標識に採用してもらいたい。
右側は、少々見づらいが、バイパスに林立する郊外店の看板も、高さ5mの規制を守っている。
目の位置が一定なので、よく目立つ。却って、けばけばしさや巨大さが目障りになる。
寺の町・飯山をイメージしたと思われるシンボル的な灯籠型の街灯。 夜には、ソーラーパネルで充電された発光ダイオードが光る。 光が上に漏れず、暗闇が守られるので、きっと、きれいな星空や月明かりを楽しめるのだろう。 |
行政の協力なリーダーシップのもとで行われている飯山市の景観づくりですが、 「7年後の新幹線ができた時が勝負です」という市の担当者の言葉に、 飯山市の真剣さが伝わってきました。 飯山市は、必ず良質の観光地として、生き残るでしょう。
それに引き替え、最近の八ヶ岳はどこに目をやっても白のガードレールと標識と、看板です。
自然の美しさを、既に失いかけている八ヶ岳が残念でたまりません。
八ヶ岳の自然景観は、世界有数と言われているのに、その足下は揺らいでいます。
日々増えていく、ガードレールや赤白などの防護柵や、各種標識、それに、民間看板。
これらは、景観を阻害する最大の要因で、これには、行政の積極的な取り組みが不可欠です。
市民の意見を丁寧に拾い上げて、官民協働で作り上げていく飯山市の姿勢は、 景観作りには欠かせないもの、これから景観やまちづくりをする北杜市に、 是非、 取り組んでいただきたいものです。
おいしい食べ物に、良い景色を味わった飯山の視察は、大変有意義でした。(ka)
追記: お昼にみんなで食べたそばは、絶品でした。
つなぎに 「おやまぼくち」(アザミ科)を入れた、幻のそばと言われているものでした。
(A.K)